平城京の朱雀門を見ながら、フレンチディナーなんてどうです?
「トキジク・キッチン(tokijiku kitchen)」という、かつての平城宮内でフレンチを楽しめる大変魅力的なレストランがあるんです。
平城宮とは、奈良時代に政治・儀式などが行われていた平城京の中心部のこと。
現在ここは、広大な平城宮跡歴史公園となっています。
平城宮跡歴史公園は着々と整備が進み、奈良時代の歴史が学べるだけでなく、のんびりと過ごせる憩いの場にもなりました。
その中の「天平うまし館」に、この「トキジク・キッチン(tokijiku kitchen)」が出店しています。
奈良に観光に来たのはいいけど食事はどうする?なんて悩んでいる方、古代ロマンに思いをはせながら「トキジクキッチン(tokijiku kitchen)」でフレンチディナーなんて素敵ですよ。
朱雀門を見ながら食事を楽しめる、トキジクキッチン
トキジクキッチンは、前述したように「天平うまし館」内にあります。
「天平うまし館」は、朱雀門の近くに整備された、飲食店などが集まった施設です。

トキジクキッチンの雰囲気
トキジクキッチンは、落ち着いた雰囲気のなかで、フレンチスタイルのコース料理が楽しめるレストランです。
お店に入ると朱雀門側は窓が大きくとられ、眺めが良くなっています。
かつて往来していた奈良時代の人々を想像しながらフレンチを食べる、こんなギャップを楽しんでみるのも面白いかと思います。

店内は、全部で約60人ほどで満席になるでしょうか。
4人掛けのテーブル席が多く、隣との間隔が広く配置されているのでゆったりと食事ができます。

店員さんはフレンドリーな感じで、親しみやすいです。
にこやかな笑顔で接客してくれましたので、より料理が美味しくなりましたよ。
ディナーコース
ディナーはコースのみで、かぐみコース(3,780円)・ときじくコース(5,400円)の2種類が用意されています。
これらのコースの違いは、メインの量の差にあります。
ときじくコースは肉と魚料理が楽しめます。
また、そのほか前菜などの質もランクアップされているようです。
せっかくなので、ときじくコースを注文。
飲み物は、このお店のオリジナルの「ときじくの実」(480円)と「朱雀大路」(480円)というノンアルコールカクテルが面白そうだったので、これも注文しました。

「ときじくの実」は、紅茶をベースにしたハチミツが香るもの。
日本書紀や古事記に書かれている不老不死の効果がある果物からインスピレーションを得て作られたドリンクなのでしょう。
紅茶の渋みとハチミツの独特の甘さが、すっきりとしながらも何か滋味深い味わいをかもし出しています。

こちらの「朱雀大路」は、派手な色合いです。
奈良に都があった頃、多くの人が行きかい、にぎやかだった通りの様子を表しているのでしょう。
ベリー系の甘酸っぱい味わいで、奈良県産のとても甘いいちごが浮いています。
微炭酸の刺激も心地よいですよ。
では「ときじくコース」の一皿目、前菜です。

中央にあるのが、鯖の炙り。
下に敷かれているのが、ショウガと思いきやなんとリンゴ!
おそるおそる鯖とリンゴを一緒に口に含んでみると…、うまいねこれ。
リンゴの甘味と酸味が、鯖の旨味をより昇華させています。
まわりの新鮮な野菜の中には、スモークサーモンやエビ。
どれも味食感ともによく、コースの始まりとしては満点です。
前菜がおいしいお店は、経験上、他の料理も当たりが多いです。
このお店もそうかな?
期待して次の料理を待ちます。
さてやってきたのは、フォアグラのソテーです。
コースの順番的には、スープのはずですが、「フォアグラがあるのですが、どうですか?」と、出てきました。

意外とさっぱりとしたフォアグラでした。
臭みなど全くなく、ソテーの具合も良い感じ。
ソースもこってりしているように見えて、そうではなく、旨味だけが濃縮したフォアグラにはぴったりのものでした。
いちごは彩りのためだと思いますが、こちらもとても甘いです。
奈良県産のいちごは品質が良いですね。
次はスープです。
ジャガイモのポタージュでした。

なめらかで舌ざわりがよく、シェフがとても丁寧に作ったと想像できるスープです。
このスープだけに限らずコースの全てに、シェフの料理に対する愛情を感じることができましたよ。
さあメインの登場です。
まずは、魚料理から。
本日は、イトヨリダイのポワレです。

皮がカリカリに焼かれ、食感が楽しい。
一方、身はジューシーで魚の旨味がジュワーとあふれ出します。
魚の下には、やわらかい春キャベツと大粒のアサリが。
全てを口に含めば、魚・野菜・貝の3種の旨味が一体となって襲ってきます。
幸せな攻撃に、陥落寸前です。
もう一つのメインは、マグレ鴨のロースト。

マグレ鴨とは、フォアグラのために飼育された鴨の肉のこと。
たっぷりの栄養を与えられているので、フォアグラ以外の部位もおいしいらしいです。
かねてから個人的な疑問だった「食べたら残りの部位はどうなる?3大謎食材」のフォアグラ・キャビア・北京ダックのうち、フォアグラは本日解明できました。
めでたしめでたし。
このマグレ鴨は、普通の鴨よりきめ細かく舌に吸い付くような肉質、さらに歯切れがとても良好です。
味わいも濃厚で、鴨肉好きにはたまらないでしょう。
香ばしく焼かれた皮と、しっとりとした赤身との対比が美しい。
一口食べると、「これが鴨肉!?」と驚きですよ。
なんというか説明が難しい、まあ食べてみれば分かるのですが…。
マグレ鴨を食べる機会があったら、ぜひ挑戦してみてください。
シェフの力量にもよると思いますが、鴨肉に対する印象が変わると思います。
ここトキジクキッチンのシェフなら安心ですけどね。
最後はコースの締めくくり、デザートです。
このデザートが美味しくなければ、今までの料理が良くても台無しですよね。
どんなデザートが出てくるでしょうか?

いちごのデザートが華やかに勢ぞろい。
左上から時計回りで、「いちごのプリン」「いちごのスムージー」「ショートケーキ」「いちごアイス」です。
こんなに種類が多いと、自然と笑顔になってしまいます。
普段からこの量なのでしょうか?すごいですね。
もちろん多いだけでなく、味も素晴らしかったです。
いちごの良さを最大限引き出していて、甘さなどは最小限に抑える絶妙なバランス。
口に含めばいちごの香りが広がり、のどを通り過ぎても余韻が残ります。
まさにコースの終わりにふさわしい、いつまでも心に残るデザートでした。
ランチコース
今回楽しんだのはディナーでしたが、ランチも営業しています(11:00~14:00)。
ランチはフレンチではないようですね。
簡単に、メニューを紹介します。
メインを3種類から選べる、プレートランチとなっています。
私が訪れた日のランチメニューを聞いたところ、「油淋鶏(1,274円)」「魚のパン粉揚げ(1,598円)」「牛ステーキ(2,030円)」でした。
これにご飯と味噌汁、そしてサラダが付いて、それぞれおかわり自由のようです。
おなかいっぱいになりそうな、魅力的なランチですね。
悠久の時の流れを感じるのに、ぴったりな料理
窓の外に広がる平城宮跡を見ながら、いにしえの日本に思いをはせるのにこれ以上の料理はない、そう思わせるトキジクキッチンのディナーでした。
それぞれの料理には素材に対するシェフの愛情が感じられ、物語が奏でられています。
にぎやかな声が聞こえてきそうな、彩り豊かな料理たち。
まるで、奈良時代の貴族たちの暮らしのようです。
料理のひとつひとつを食べながらそんな想像をするのが楽しめる、それがトキジクキッチンのディナーコースです。
奈良に訪れた際には、ぜひどうぞ。
おすすめです。
なお、ディナーコースは基本的には予約制のようです。
必ずお店に問い合わせの上、ご利用ください。
tokijiku kitchen 平城京 (トキジク・キッチン)
【住所】奈良市二条大路南4-6-1 天平うまし館内
【電話】0742-93-9015
【ランチ 】11:00~14:00
【ディナー】17:00~22:00 *予約制
全席禁煙です。
なお、トキジクキッチン近くの駐車場は基本有料ですが、午後5時以降は無料で利用できるようです(要問い合わせ)。
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