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少彦名神社の献湯祭に古の日本を見た!?

関西での暮らし

神農さんと地元では親しみを持たれて呼ばれている少彦名神社は、大阪市中央区の道修町にあります。

この少彦名神社では毎月23日の12時30分から「献湯祭」なるものが行われています。
簡単にいえば、読んで字のごとく神様にお湯を献上する神事なのですが、そう単純な話ではありません。

関東から大阪に引越してきてから、なんとなく気になっていたのがこの「献湯祭」。
9月23日は休日でしたので、少彦名神社に行くことができました。
実際に間近で見てきて感じた、「献湯祭」に対する私なりの考察などを書いていきたいと思います。
日本人が脈々と受け継いできたものとは何か?
それが垣間見られるお祭りです。

少彦名神社の献湯祭とは?

少彦名神社はお薬の神様として知られており、健康祈願はもちろん、医薬品関連会社の守り神としても信仰を集めています。

境内に展示されている医薬品会社の商品の数々。

また、薬学部を志望する受験生の合格祈願でも人気のある神社です。
合格を願う絵馬がたくさん奉納されています。

献湯祭の簡単な流れ

そんな少彦名神社で行われる「献湯祭」とはどんなものでしょうか。
簡単に流れを説明すると1~6の通りです。

1.巫女さんが行います。

2.中央にお湯の入った釜が置かれ、初めにまわりを塩でお清めをします。

3.次にお湯が入っている釜の中へ米を入れます。
4.さらにお酒を入れます。
5.米・お酒が入ったお湯を神前にお供えします。
6.残ったお湯を笹の葉を使い、勢いよく四方へまき散らします。

神社の説明によると、薬草をお湯で煮出して昔は飲んでいたので、お湯は薬と深い関係があり、そのお湯を神様に奉納することで健康祈願などをする、ということらしい。

しかし何となく、この説明に違和感を感じます。
その場で実際に見た私にはこの「献湯祭」は、日本人が脈々と受け継いできたあるものが形として残ったもの、そう感じたのです。

献湯祭には古代日本人の姿が見える!?

「献湯祭」ではまず初めに塩で清めます。
塩で清めるというのはその場所を神聖にし、人々にとって大事な何かを招き入れるためでしょう。
そう、神様です。

では神様を呼ぶとどうなるのか?
神様は大抵、雷鳴の中から現れます。
雷鳴時には、雨が降っていることでしょう。
この雨を人々は望んでいたのです。

神楽を舞う巫女さんは、鈴とギザギザの紙垂を持っています。
この鈴は雷の音を、紙垂は稲妻の光であって、神様が現れるこの雷鳴の場面を表しているのにほかなりません。

ではなぜ人々は雨を望んでいるかというと、お分かりだと思いますが、稲作のためです。
古来日本人は稲作をしていました。
そしてこの稲作には雨が大変重要となります。
そのために神様の出現が必要なのです。

この「献湯祭」で米がお湯の中に入れられるのも、このような理由からきていると思われます。
神様が現れ雨が降って米ができた、ということを示しているのです。

さて、神様のおかげで雨が降り、米もできました。
次にこの米とお湯(水)からできるもの、そうお酒ですね。
このお酒も日本人が古くから作ってきたものです。
雨が降って米ができないとお酒もできない。
ですから、「献湯祭」でもお湯の中へ米を入れてから、次にお酒を入れます。
この順番にも意味があるのです。

雨を恵んでくれた神様と、そのおかげでできた米から作られたお酒は、まさしく神様からの贈り物なのでしょう。
そのため最後にお酒が入ったお湯を神様へ感謝を込めて献上するのです。

この「献湯祭」の一連の流れは、日本人が古の時代に行っていた稲作とお酒作りを表現したものであり、そしてすべては雨をもたらしてくれた神様への感謝を示したものなのです。
また四方へお湯を勢いよくまき散らす行為は、雨が至る所に降るように願ったものなのかもしれませんね。
これが祭の本来の姿であったが、形だけが残り、違った意味として現代に伝わったのではないのでしょうか。

雨乞いのために神様を呼び、米を作りお酒を造る。
そしてできたお酒を神様に献上し感謝する。
この流れは説明しなくても日本人なら、理解できていることです。
脈々と古代から日本人の心に受け継げられてきたDNAのようなもので、これを表しているのが、少彦名神社の「献湯祭」なのかもしれません。

なんて長々と書きましたが、適当に考えただけで素人の単なる戯言です。
ですがそんなことを考えてしまうほど、「献湯祭」には健康祈願以外にも何かあるのではないかと思ってしまう不思議な神事でした。

残ったお湯はお持ち帰りできます

「献湯祭」が終わった後に残ったお湯は、持ち帰ることができます。
湯花というそうです。
持参したペットボトルなどに無料で入れてもらえますよ。
机の上に置くと、適当な順番でお湯が入れられます。

容器がなくても、神社で専用の容器を1本200円で購入できます。
「献湯祭」には毎月参加する常連さんが多いようで、この専用容器を何本も持参していました。

たくさんお湯を持ち帰っていましたが、次の「献湯祭」までに少しずつ使うのでしょうか。
何に使用するのかな?
神社の人から聞いた話では、飲んではだめで、お風呂に入れて入浴剤として使ったり、お清めしたい気になるところに撒いたりするのがおすすめ、とのこと。

私も持参したペットボトルにお湯を入れてもらい、入浴剤として使いましたよ。
ちなみにこのお湯はけっこうお酒の匂いがします。
お酒に弱い人は注意してくださいね。
入浴剤としての効能は、お酒が入っているせいか湯上りが普段より少しぽかぽかした気がします。

実は「献湯祭」は一年がかり

毎月23日に行われる「献湯祭」ですが、11月は神農祭が行われます。
少彦名神社の一大イベントです。
大阪では一年は「(今宮戎神社の)えべっさんに始まり神農さんで終わる」といわれるほど、有名なお祭りです。

そしてこの11月の神農祭から、実は「献湯祭」の一年が始まるのです。
神農祭でまずは張子の虎を手に入れて、次の12月23日から来年の10月23日までの「献湯祭」に毎回出て、その時にもらえる花詞の御札をすべて手に入れる。

こちらは今回手に入れた御札。

まるでスタンプラリーのように花詞の御札を集め終わったら、11月の神農祭にてコンプリートしたよと神社の人に言います。
すると12月23日に受けられる満願成就の御祈祷の申込用紙がもらえるのです。
そして12月23日の御祈祷終了後に満願成就の証の御札がもらえて、やっと「献湯祭」の全日程が終了することになります。
ふー大変。

こんな「献湯祭」に興味がある方はぜひ少彦名神社に訪れてみてください。
意外と小さな神社ですが、大きな虎さんがいたりして面白いですよ。
「献湯祭」は毎月23日の12時30分から境内にて行われています。
巫女さんの近くにいると、お湯がバシャバシャかかるので気を付けて。

少彦名神社(すくなひこなじんじゃ)
【住所】大阪市中央区道修町2-1-8
【公式サイト】http://www.sinnosan.jp/index.html

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